八十路に向かって-Go for 80!

人生いつのまにか七十年過ぎ八十に向かう老婆の独り言です。

開高健『パニック』を読んで

100日チャレンジ66日目

おはようございます。

 

先月「竹の花が咲く時」というタイトルでブログ記事を書いた時、読者の方から開高健さんの小説『パニック』を思い出しましたというコメントを頂いて、私もその本を読んでみたいと思い、図書館で借りてきて昨日読んでみました。

開高健短編選に一番最初に入っていました。彼のデビュー作です。

文庫本で66ページの作品です。面白かったので一気に読み終えました。昭和32年発表ですが古さはあまり感じませんでした。いつの時代も人間社会の闇の部分は変わらないのだ、と思いました。

 

以下少し引用します。

 

 「ところが、これほど臆病で神経質なネズミでも、いったん集団に編入されたとなると、性質は全く変ってしまうのである。集団のエネルギーは暗く巨大で、狂的でもあれば発作的でもある。オーストラリアの異常発生の記録では野ネズミの大群が10キロの平原を一直線に移動して、途中の植物を根こそぎ平らげ、そのまま海につき進んでおぼれ死んだという事実が報告されている。彼らは迂回することを忘れ、発生地から正確に一直線を延長した海岸まで来て自滅したのだ。はじめから海岸をめざした行動ではない。海はたまたま行手にあっただけのことなのだ。集団の衝動に押し流されて彼らは正常な味覚や臭覚を失い、遥かかなたからでも海の匂いを死の予感として判断できなかったのである。しかも行軍の途中、死に向かっているとも知らず、牝ネズミたちはせっせと子を生みつつ集団について走っていた」

 

私はここを読んで(ネズミを人間に置き換えたら)コロナ禍の日本の状況ではないか、と思いました。情報統制された中で同一方向へ向いて進んでいる‥

集団行動は秩序正しく和を乱すことなく粛々と進むのですが、それが必ずしも良い方向に進むとは限らない。

 

 

今日もお読みいただきありがとうございました。

良い一日になりますように

皆様の健康と安全をお祈りします。