八十路に向かって-Go for 80!

人生いつのまにか七十年過ぎ八十に向かう老婆の独り言です。

モンタナのインデアン by S.A.Ymst

ブログ連続更新100日チャレンジ70日目

おはようございます。

70日記念号です。今回はショートストーリー2つ

 

モンタナのインデアン

 

 気の遠くなるようなモンタナの小麦の海をやっとの思いで通り抜け、グレーシア国立公園の山中に迷い込むようにして投宿した時のことだ。ラナというインデアンに会った。彼の話は、山の中腹から微かに響いてくるトウヒ材を満載した貨物列車のブルースのようにぼくの心に染み込んできた。ラナが語った多くのことばは、インデアン居住区の生活保護費を無益に注ぎ込んだ琥珀色で、文明に益するところは一つとして無かった。進歩は悪徳で、肥満した生彩のないコヨーテが彷徨するようなもの、人生は夢で、過労死と無縁の生活を彼は死ぬまでモンタナの山奥で続けるだろうこと。ラナは呪文のようにそんなふうなことを言った。数年前、谷町線天王寺駅の地下道の底で薄暗い灯火に照らされてペンギン版のディケンズを脇目も振らずに読んでいた浮浪者のことが、なぜかぼくの心に不意に浮かんだ。一瞬、不思議な思いに捕われた。あの奇妙にも敗残者の匂いのしなかった浮浪者はラナかもしれなかったし、都会の吹き溜まりに身を置きながら、ディケンズをあんなふうにして読みたかったのはぼくかもしれなかった。ぼくは陽のすっかり沈んだグレーシアの山中で、競争に駆り立てられた文明の外に零れ落ち、自由で、愉快で、物悲しかった。

 

ビスマルク

 

 これは、ドイツのではなく、ノース・ダコダのビスマルク。人口五万足らずの州都、通り過ぎるだけの町、陽が西から登っても、パック旅行にも、女子大生の卒業旅行の思い出づくりにも貢献しない町。 ぼく達家族も通り過ぎただけの町、ノース・ダコダのビスマルク。ナゼカココロニノコルマチ!

 

 

100日チャレンジ、残り30日となりました。

毎日お読みいただき本当にありがとうございます。

今日が素敵な一日になりますように

みなさまの健康と安全をお祈りいたします。